カテゴリ:収益物件 / 投稿日付:2022/04/12 18:45
収益物件の売却はいつ考える?
収益不動産を売却するタイミング1:デッドクロスになる前
サラリーマン投資家が不動産投資をする理由の一つに、「所得税の節税」という目的があります。
不動産投資をすると、実際には懐からお金は出て行かないけれども経費にできる「減価償却費」という
ものが発生するため、これを利用して所得を低く抑えて所得税の軽減効果を得ることができます。
けれども、減価償却費は収益物件の築年数とともに、徐々にその額が減少していくこととなります。
これに対し、経費計上ができない金額である「銀行に返済するための元金返済部分」については、
返済方式によって次のような状態になります。
①元利均等返済方式
この場合は当初の元金返済分は少ないのですが、徐々に元金返済割合が増えていくため、
概ね築10年以上が経過してくると、徐々にキャッシュフローが悪化しはじめます。
②元金均等返済方式
元金均等は、当初から元金部分の返済比率が多いため、元利均等よりもさらに早くキャッシュフローが
悪化してくることになります。
このように、収益物件の築年数が古くなることで、減価償却による所得税の節税効果と、
経費計上できない元金返済負担が逆転することを「デッドクロス」と言います。
そのため、このデッドクロスが発生する前に売却するというが、比較的オーソドックスな売却の
タイミングと言えるでしょう。
収益不動産を売却するタイミング2:大規模修繕などのキャッシュアウトが大きくなる前
収益物件は時間とともに物理的に劣化してきます。劣化が発生するようになると、
これを改善させるために「修繕費用」がかかるようになります。最近の収益物件の場合、
建物自体の性能が向上してきているため、概ね築10年以内であれば、賃貸経営をしていても
さほど修繕費がかからず、キャッシュアウトはほとんど発生しません。
けれども築10年を超えてくると、室内外を問わずさまざまな部品や設備が劣化してくるため、
それまでの10年とは比べ物にならないほどのキャッシュアウトが発生するようになります。
不動産投資においてキャッシュアウトの増大は、投資利回りの悪化、そして、キャッシュフローの
悪化と繋がっていくため、そうなる前に収益不動産を売却してそこで利益を確定させてしまう
というのも、出口戦略として非常に有効でしょう。
収益不動産を売却するタイミング3:キャピタルゲインが出る時
商売の基本は「安く買って高く売る」ですが、これは投資においても同じことです。
収益不動産をできる限り安く仕入れて、値段が高騰したタイミングで売却すれば、
その差額も不動産投資における収益となります。
これを「キャピタルゲイン」といい、収益不動産を売却する際の重要な判断材料となってきます。
キャピタルゲインのおよその目安としては、「税引き後キャッシュフローの概ね5?10倍程度」
となれば、十分売却を検討できるタイミングと見てよいでしょう。
収益不動産を売却するタイミング4:購入時に失敗した物件は早期売却で損切り
不動産投資をする際に最もポイントとなるのは、「物件選定」です。物件選定を間違えて投資して
しまうと、ほぼその段階で不動産投資の「失敗」が確定することとなってしまいます。
このようなことがないように、徹底した調査と検討の上購入するのがベストですが、
万が一購入後にその失敗に気がついた場合は、できる限り早い段階で売却してその投資にピリオドを
打つことをおすすめします。
これを投資の世界では「損切り」といいます。
「ひょっとして、もう少し時間が経てばなんとかなるかも」などと、淡い期待を抱いていると、
どんどん負債が増えていってしまいます。
このような場合は、多少赤字が出たとしても、早い段階で損切りした方が、赤字を最小限に
食い止めることができます。
一つの投資に固執するのではなく、見込みが少ない場合は早い段階で損切りをして損失を確定し、
その教訓を糧にして次の投資に活かすことが何より大切なのです。
売却のタイミングで投資における収益は大きく変わる
このように収益不動産を売却するタイミングとその判断材料は複数ありますが、大切なことは、
どんな収益不動産も売却するタイミング次第で、利益や損失が大きく変わってくるということです。
不動産投資とは、簡単に言えば家賃収益を基盤とするキャッシュフローの積み上げによる
「インカムゲイン」と、売却時に発生する売却益である「キャピタルゲイン」の2つのポイントで
全てが決まりますので、売却のタイミングについては購入時以上に慎重に分析、
検討するようにしましょう。