カテゴリ:収益物件 / 投稿日付:2022/04/01 18:28
物件に接している道路について
道路の種類について
建物を建てる際に接道すべき道路については、建築基準法で次の6種類が定められています。
・42条1項1号
幅員4m以上の道路法で規定されている道路のことです。
国や都道府県が管理している「公道」で、いわゆる国道、県道、市道がこれに該当します。
・42条1項2号
都市計画や土地区画整理によってつくられた道路のことで「開発道路」といいます。
何もない広大な土地を造成して宅地分譲する際につくる道路で、幅員は原則として6m以上ですが、
例外的に4m以上で認められる場合もあります。
開発道路の段階では私道扱いですが、通常は開発後に役所に引き継がれるため1項1号の公道になる
のが一般的です。
・42条1項3号
建築基準法が定められる前からある、幅員4m以上の「既存道路」のことをいいます。
既存道路は国や自治体が所有しているケースと、民間の私道というケースがあり、
前者の場合でも正式には国道や県道として認められていないため、1項1号とは明確に区別している
のです。
・42条1項4号
都市計画法によって、2年以内に事業が予定されている「都市計画道路」のことをいいます。
あくまで予定なので、計画通りに道路が整備されないこともありますが、指定が取り消されるまでは
道路内の建築制限が継続します。
・42条1項5号
民間の申請によって行政から指定を受けてつくられた道路のことで「位置指定道路」といいます。
基本的には私道ですが、役所に引き継がれて1項1号になっているケースもあります。
原則として通り抜けができる必要がありますが、一定の条件を満たす場合は行き止まりでも
指定を受けることが可能です。
・42項2号
幅員4m未満の道路ですが、建物を建築する際には4m以上になるよう敷地を後退する必要がある道路のことです。
「2項道路」や「みなし道路」などということが多く、敷地を後退することを「セットバック」
といいます。
道路の中心線から2mのラインまで、対面側が河川や線路、崖などの場合については、
片側のみ対面から4mのラインまでセットバックが必要です。
都心の狭い住宅地に多い2項道路ですが、2項道路に接道している物件に投資をする際には、
セットバックが完了しているかどうかを必ず確認しましょう。
通常、セットバックが必要な土地にマンションなどを建てる場合は、道路の中心線から
2mセットバックさせて建築する必要があるのですが、それが正しく行われていない場合が
あるため注意が必要です。
2項道路に接道している物件を購入する際には、事前に役所の道路課でセットバックが完了している
のか確認するようにしましょう。
未接道だとどうなるのか
建築基準法では、上記でご紹介した6つのうち、いずれかの道路に原則として2m以上接して
いなければなりません。(条例で別途厳しい規制が課されている場合もあります)
そのため、中古物件を購入する際には、必ず対象の物件が接道義務をクリアしているのか
確認することが重要です。
接道状況の確認方法
接道状況については、役所等で取得できる下記書類と現場の状況を照合しながら
確認する必要があります。
・建築計画概要書(都市計画課などでコピーを取得)
・開発登録簿
・区画道路図面
・位置指定道路図
・地積測量図、公図(法務局で取得)
再建築不可は要注意
調査した結果、接道義務を満たしていないことが判明した場合は、その物件は「再建築不可」で
あることがわかります。つまり、既存の建物を取り壊して建て直すことができないということです。
再建築不可物件については、建物が古くなっても大規模なリノベーションでリニューアルしていくしか
ないため、賃貸募集図面上の築年数はどうしても古いままとなってしまいます。
金融機関からの評価も低くなるため、ローンを組んで購入できない可能性が高く、また再販する際には
売れにくいという非常に高いリスクを負うため、不動産投資として購入するのは避けた方が
よいでしょう。
ただし書道路とは?
先ほどご解説した、建築基準法で定められている6種類の道路に該当しない道路のことを
「但し書き道路」といいます。
但し書き道路とは、2m以上の接道義務を満たしてはいないものの、安全、防火、衛生上の支障がない
という前提で許可されている道路のことです。
但し書き道路に接している物件については、再建築する場合についても同様の建物であれば、
再度例外的に許可が出る可能性はありますが、必ずとは言い切れません。
あくまで例外的に許可を得て建築できるに過ぎないため、少なからず将来再建築ができない可能性が
あるリスクを負うこととなります。
但し書き道路の物件を購入する際のポイント
どうしても購入したい物件が但し書き道路に接している場合は、将来再建築ができないリスクを
できる限り回避するために、事前に許可を出す立場である特定行政庁に対して再建築が可能か
どうか直接問い合わせて確認します。
過去に同じ道路に接している敷地で、再建築が許可された事例があるかどうかについても、
役所の都市計画課や建築指導課で確認すると参考になるでしょう。
特定行政庁の許可基準については、その地域の事情にあわせて規定されていますので、
各地域を管轄している特定行政庁に許可基準を問い合わせて確認することが重要です。
私道にまつわるその他の注意点
接道している道路が私道の場合は、つぎの点についても事前に確認する必要があります。
・法律的な確認事項
道路の所有者が民間である場合、公道とは違い次のような制約が発生する可能性があるため、
事前に役所や売主本人に確認する必要があります。
・利用制限の有無
・負担金
・第三者が所有している場合の承諾条件
・物理的な確認事項
私道の場合は民間で管理しているため、次のような物理的な現況を現地で確認する必要があります。
・道路の配置(行き止まりかどうか)
・舗装状況
・道路内に都市施設があるかどうか
これらの状況に問題がないかどうかついて、できれば私道の所有者と一緒に現地で立ち会って
確認してください。